矯正歯科の基礎知識

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セファログラムによる矯正の診断

 頭部X線規格写真(セファログラム)による診断は 歯科矯正 における診断の代名詞とも言えます。
一定の規格に従って撮影された頭部のX線写真(正面方向、側面方向、軸方向または斜位の3種類)に基準点を設けて、各基準点の相互関係を計測して、顎顔面頭蓋部を図形的に分析する方法です。   主に、側面方向のレントゲン写真を利用・分析します。
          頭部X線規格写真

基準点の設定

セファログラム上の基準点ナジオン nasion (N点)   鼻骨前頭縫合の最前点

セラ sella turcica (S点)   蝶系骨トルコ鞍の壷状陰影像の中心点

オルビターレ orbitale (Or)   眼窩骨縁最下点

ポリオン porion (Po)   骨外耳道の上縁

前鼻棘 anterior nasal spine (ANS)   前鼻棘の最先端点

後鼻棘 posterior nasal spine (PNS)   後鼻棘の最先端点

A点 point A (A)   ANSと上顎中切歯間歯槽突起最前点との間の唇側歯槽骨縁上の間の
               最深点

B点 point B (B)   下顎中切歯間歯槽突起最前点とpogonionとの間の最深点

ポゴニオン pogonion (Pog)   FH平面に対して下顎オトガイ隆起の最突出点

翼上顎裂 pterygomaxillary fissure (Ptm)   翼口蓋かの透過像の最下点

グナチオン gnathion (Gn)   顔面平面 と 下顎下縁平面 とのなす角の2等分線がオトガイ
                    隆起と交わる点

メントン menton (Me)   オトガイ正中断面像の最下点

ゴニオン gonion (Go)   下顎後縁平面 と 下顎下縁平面 との交点Gのなす角の2等分線が
                  下顎骨縁と交わる点

バジオン basion (Ba)   大後頭孔の前下縁点

ボルトン bolton point (Bo)   後頭骨外側の左右後頭顆後縁の最陥凹点

アーティキュラーレ articulare (Ar)   下顎枝後縁と側頭骨下縁との交点

 Mo   上下顎第一大臼歯の噛み合う中点

 Is   上顎中切歯の切縁

 Ii   下顎中切歯の切縁

 cd   下顎頭の最上点 

基準平面の設定

セファログラム上の基準平面基準平面

 S-N平面   S と N を結んだ直線

 Frankfort平面 (FH平面)   Or と Po を結んだ直線


計測平面

 Y軸 (Y-axis)   S と Gn を結んだ直線

 顔面平面 (Facial plane)   N と Pog を結んだ直線

 口蓋平面 (palatal plane)   ANS と PN Sを結んだ直線

 咬合平面 (occlusal plane)   上下顎中切歯先端の中点 と Mo を結んだ直線

 下顎下縁平面 (mandibular plane)   Me から下顎下縁に引いた接線

 下顎後縁平面 (ramus plane)   Ar から下顎角後縁部に引いた接線






セファログラムの分析法

 セファログラム(頭部X線規格写真)を用いた分析法は 矯正歯科 の世界ではメジャーである為、多くの分析法が様々な研究者により提唱されてきました。

Downs 法

 基準平面がFH平面である。
顔面を見て基準線が想像しやすいことが利点。

 骨格型 Skeletal pattern

  1.顔面角 facial angle   顔面平面 と FH平面 のなす角度
                      オトガイの前後的な位置関係を示す

  2.上顎突出度 angle of convexity   N-A と A-Pog のなす角度
                              オトガイ部に対する上顎歯槽基底部の前後的位置を判定

  3.A-B平面角 A-B plane angle   point A と point B を結んだ直線 と N-Pog 線 とのなす角度
                            上下顎歯槽基底部の前後的位置関係を判断

  4.下顎下縁平面角 mandibular plane angle   下顎下縁平面 と FH平面 とのなす角度
                                     下顎下縁の傾斜度を判断

  5.Y 軸角 Y-axis   Y軸(S-Gn) と FH平面 とのなす角度
                  下顎骨の前下方への発育の度合いを判断

          Downs法のSkeletal pattern

 咬合型 Denture pattern

  1.咬合平面傾斜角 cant of occlusal plane   咬合平面 と FH平面 とのなす角度
                                    咬合平面の傾斜度を判断

  2.上下顎中切歯師軸傾斜角 interincisal angle / U-1 to L-1   上下顎中切歯の交わる角度

  3.下顎下縁平面に対する下顎中切歯歯軸の傾斜角 L-1 to mandibular plane angle   下顎下縁平面と下顎中切歯歯軸のなす角度

  4.咬合平面に対する下顎中切歯歯軸の傾斜角 L-1 to occlusal plane angle   咬合平面と下顎中切歯歯軸のなす角の余角

  5.上顎中切歯突出度 U-1 to A-P   上顎中切歯の切縁からpoint A と Pog を結んだ直線に対する垂直距離
                             上顎中切歯の突出度を判断

          Downs法のDenture pattern

Northwestern 法

 基準平面が、S-N平面である。
7歳以降ではこのS−N平面が比較的安定していることが利点。

 骨格型 Skeletal pattern

  1.上顎突出度 angle of convexity   Downs法と同じ計測項目

  2.SNA角 SNA angle   SN平面 と N-A を結んだ直線とのなす角度
                    脳頭蓋底に対する上顎歯槽基底部の前後的位置関係を判断

  3.SNB角 SNB angle   SN平面 と N-B を結んだ直線とのなす角度
                    脳頭蓋底に対する下顎歯槽基底部の前後的位置関係を判断

  4.ANB角 ANB angle   N-A を結んだ直線 と N-B を結んだ直線 の交わる角度
                    上下顎の相対的な前後的位置関係を判断

  5.下顎下縁傾斜角   下顎下縁平面 と S-N平面 とのなす角

          Northwestern 法のSkeletal pattern

 咬合型 Denture pattern

  1.U-1 to SN   SN平面に対する上顎中切歯の歯軸傾斜角

  2.L-1 to mandibulas plane   下顎下縁平面に対する下顎中切歯の歯軸傾斜角

  3.L-1 to occlusal plane   咬合平面に対する下顎中切歯の歯軸傾斜角

  4.interincisal angle   上下の中切歯の歯軸の交わる角度

  5.U-1 to NP   上顎中切歯から顔面平面までの垂直距離

  6.U-1 to FH   FH平面に対する上顎中切歯の歯軸傾斜角

Tweed 法

 下記の3つの角度の基準値を、FMAが25度、FMIAが65度、IMPAが90度 になることを理想とした。

  1.FMA Frankfort mandibular olane angle   下顎下縁平面 と FH平面 とのなす角度

  2.FMIA Frankfort mandibular incisor angle   下顎中切歯 と FH平面 とのなす角度

  3.IMPA Mandibular incisor plane angle   下顎中切歯 と 下顎下縁平面 とのなす角度 

          Tweedの三角                                

坂本のプロフィログラム

 成長段階別の基準値プロフィログラムに、患者の計測点を重ね合わせる方法。
患者さんの顎顔面部の成長の概要を図形的に評価する。

          坂本のプロフィログラム

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